初心者におすすめしたい Linuxディストリビューション
結論から言ってしまいますが、Linux Mintです。はじめて Linuxを PCにインストールするなら Linux Mint Cinnamonエディションをおすすめします。
Linuxをインストールしてみると「なにこれ?」という初心者が面食らうようなことがときどき起こります。
- 日本語入力ができない
- 何とか日本語入力できるようにしても、変換候補が入力位置からかなり離れて表示されて見づらい
- PCの時刻が同期していない
- ソフトが日本語化されていない
- 動画が見ずらい
- 何回か使っている内に起動できなくなる
- インストール時、ストレージに前のOSが残ったままだとインストールに失敗することがある
- インストール時、インストーラーのウィンドウが大きすぎてボタンが画面外に隠れてしまい押せない ALT+D&Dで対処
Linux Mintは、インストール前後で上記のようなことがほとんどありません。はじめて Linuxをインストールしようとしている方におすすめできると考えます。
Linux Mintをおすすめする理由
インストールがやさしい
他のディストリビューションもいくつかインストールしたことがありますが、Mintのインストールは、わかりやすく簡単です。ほとんど迷うことなくインストールを終えることができます。
UIがけっこうモダン
Mintには、Cinnamon, Mate, Xfce 3つのエディションがあります。Cinnamonの UIは、Windows7と10を合わせたような感じでモダンな UIといっていいと思います。Mateと Xfceはトラディショナルな感じです。
Windowsに慣れたユーザーに違和感のない操作性
下の画像は Mintメニューのボタンをクリックしてメニューを開いたところです。
Windows10を想起するメニューで、Windowsを使っていた人ならこのあたりは問題なく使えると思います。また、Cinnamonエディションではピン止めができたり、起動中のアプリがタスクバーにアイコン表示されたりと、見た目、機能性も Windowsっぽい作りになっています。
日本語が問題なく使える
日本語が問題なく使えるというのは、以下の3つで困らないということだと私は考えます。
- 日本語表示
- 日本語入力
- ソフトの日本語対応
日本語表示
ブラウザなどのソフトで日本語が正しく表示できていること。最近のディストリビューションならここは問題ないと思います。
日本語入力
OSをインストールしてすぐに日本語入力ができることが望ましいです。Windowsではあたりまえにできることですが、Linuxでこれができるのはディストリビューションの一部のみです。多くのディストリビューションでは日本語入力パッケージのインストールなどが必要となります。
Mintはインストール直後から日本語入力ができます(Linux Mint 21.3まで)。最新の Linux Mint 22 では、これができなくなってしまいました。自分で日本語入力パッケージをインストールする必要があります。
ソフトの日本語対応
初期設定、システムのアップデートをしたら、次にすることは自分が使いたいソフトウェアのインストールです。でも、またここで問題が起きることがあるのです。
インストールしたソフトウェアのメニュー表示などが日本語になっていない。中にはプレインストールされている Libre Officeなどが日本語化されていないディストリビューションもあります。言語サポートや言語パックなど入れると日本語化される場合もありますが、初心者にそんなことを求められても困りますよね。
ソフトが日本語化されていない・されている場合の画像です。どちらが使いやすいかは言うまでもありません。
Linuxディストリビューションは、1文字1バイトの言語圏で作られることが多いので(国産ディストリビューションもそこそこありますが)、日本語などのマルチバイト文字に完全に対応していないのは仕方がないという面もあります。
でもソフトウェアが対応しているなら、インストール時に日本語化もしておいてほしいですよね。こういう点でも Mintは結構頑張っていると思います。私が使っている範囲では、ソフトが日本語化されていなくて困ったということは Mintではいまのところありません。
ブラウザで快適に動画を視聴できる
普段使いで Mintを使うならここははずせないところです(動画をまったく見ないという人は別ですが)。
ブラウザで動画を視聴しているとき、一瞬ですが場面の切り替えや動きが速いシーンで画面に線が出たり画面がずれたりすることがあります。Windowsではこんな現象を見たことがないのですが、Linuxでは多くのディストリビューションでこのような現象が見られます。もう無くなってしまいましたが、Gyaoとかは結構な頻度で出ていた記憶があります。
Mintではこのようなことがなく Firefoxで Windows並みに動画を視聴できます。
情報が多い
わからないことが出てきたらネットで調べる。基本ですよね。しかしマイナーなディストリビューションでは情報自体が少なく、ほしい情報がネットにないということがそれなりにあり得ます。
Mintは、日本はもとより世界的にも人気のディストリビューションです。そのためネット上に Mintについての情報は、たくさんあります。「mint ?????」などで検索すればかなりのページがヒットするはずです。
また、Mintは Ubuntu派生のディストリビューションなので Ubuntuの情報がそのまま使える場合も多いのです。
Mintについて
Windowsとの比較など含めて書いておきます。
Linux Mint Cinnamon 推奨スペック
公式の推奨スペックは、メモリ 4GB、ストレージ 100GB となっています。
私が Mint Cinnamonをインストールした PCは、Core i5(第二世代 Passmark 2200)、メモリ8GB、ストレージ SSD(SATA) のかなり古いPCですが、起動時間も短く、マウス操作の反応速度もいいのですごく快適に使っています。
私の感覚では、もう少し遅いCPU、メモリ4GB、ストレージがHDDでもいけると思います。
起動時間
電源を入れてメーカーロゴが表示されてから、デスクトップ画面が表示されるまでの大まかな時間です。
私のPCでは、HDDで 60~100秒くらい、SSDで20秒弱。Windowsよりやや遅い印象です。
性能が低いPCの場合、Windowsでは起動直後、数分から数十分ストレージへアクセスしっぱなし、CPU使用率100%ということがよくありますが、Mintではそういうことがほとんどありません。
メモリ使用量
起動直後で約1GB(Windowsは約2GB)
面倒な点
ソフトのインストールやアップデートのたびにパスワードを求められる。
ファイルのパーミッションが結構きびしい。
NTFSでフォーマットされた外付けHDDにファイルをコピーするとファイル名の日本語が文字化けすることがある。exFatでフォーマットしたHDDではOKみたいです。
「パネルを常に隠す」に設定してある場合、カーソルを画面底部に移動してもパネルが表示されないときがある。Windowsキーを押すと表示されます(メニューも出ますけど)。